日本語ー生成原理の解明

大和言葉はこうしてできた

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3. ヤマトコトバは膠着語である

作る

日本語は言語学上の分類から膠着語とされています。造語的にも、単語の後ろに膠でくっつけるように別の成分を付加して新たな言葉を生み出しています。

例えば、ツクルという語は、ツクに動詞語尾「ル」を付加した語です。この場合のツクは「付く」。だからツクルとは、木材などを順々に付加させていき、家などにすることだといえます。さらに、ツクルに語尾「フ」を付加してツクロフ(繕ふ)を作ります。この「フ」は反復・継続を表し「再び作る」というのがツクロフというわけです。膠着的な変化を二重に繰り返して言葉を生み出しています。

ツク-ツクルという変化ばかりでなく、ツク(付く)からは、ツク→ツカと母音変化して、ツカム(掴む)やツカフ(使ふ)などの語が作られます。ツカムはさらにツカマルと変化し、ツカフはツカハス・ツカヘルと変化します。今日、「捕まる」や「遣わす」「仕える」という語を見ても、この語がツク(付)と関係があるなどとはとても思えないでしょう。しかし語構造的に見るとツクを元に派生してできた語と見るほかないのです。

ツカは単独で「束(掴むところ)」ともなります。ツクにはツク(築く)もあるのですが、こちらの方はツカ(塚)という名詞を作ります。母音aで名詞を作っています。

ここで重要なことは、膠着の際に、母音が機能をもって使われていることです。この機能については、次のようにまとめられます。(概ね、 阪倉篤義『語構成の研究』(角川書店、1966年)による。iはやや異なる)

母音a・oは動名詞化母音
ムル(群る)→ムラ(村)
クル(暮る)→クロ(黒)

母音a・oの分詞形容詞的用法
マガタマ(勾玉)=マグ(曲ぐ)+タマ(玉)
ムラクモ(群雲)=ムル(群る)+クモ(雲)

母音iはモノを表す名詞
イノチ(命)=イ(物)ノ(~の)チ(霊)
イシ(石) =イ(物)シ(~である)

被覆形:

母音a・oの分詞形容詞的用法が通常被服形とよばれる。本稿1ページのカス→カサ(ヌ)なども本質的には同じであり、古代日本語の語基接合規則である。

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[1]単純な語から多様な語が生み出される
[2]単純な語から多様な語が生み出される―2
[3]ヤマトコトバは膠着語である
[4]ヤマトコトバは膠着語である(例)
[5]膠着語尾を取って始原形を推定する
[6]トル・テ (取る・手)
[7]すーっ(と動く)の「ス」
[8]日本語生成原理―母音変化を伴う膠着を繰り返す

日本語の起源